大惨事となった御嶽山噴火。
分かっているだけでも10人以上の人が無くなった。
その御嶽山の噴火の際、何度もテレビで流れて来た「心肺停止状態」という言葉。
この言葉は実際の所、どういうことを意味しているのか。
一般的に、心肺停止状態というのは、言葉の通り、心臓と肺の活動が停止している状態である。
それ以上でもそれ以下でもなく、あくまでも心臓と肺の活動が停止状態であるということ。
では、「心配停止」と「死亡」はどう違うのか。
まず、心肺停止状態は、上で言ったように、あくまでも状態を指しているだけでしかない。
つまり、死亡しているかどうかとは、直接的に関係がないのだ。
一方で、一般的に使われる「死亡」という言葉は、社会的な意味として使われることが多く、医師が死亡を確認した瞬間が「死亡」にあたるとされている。
さて、これら話をふまえた上で、心肺停止に関する都市伝説について。
事件や事故の際、テレビなどで、
「心肺停止状態で発見」
というテロップを良く見かけると思う。
御嶽山の噴火の際にも、何度もテロップで出ていた。
視聴している場合、なんとか助かって欲しいと願うものだが、この心肺停止後の状態で発見というフレーズ。
実際の所、ほぼ助かる見込みがないと言われている。
こちらを見て欲しい。
これは、カーラーの救命曲線と呼ばれるもので、人間の状態と救命の可能性を図にしたものである。
この図を見れば分かるように、心肺停止から5分程度で、助かる見込みはほぼ0となっている。
つまり、心肺停止後、5分以上経った状態で見つかっても、残念ながら、助かる可能性は限りなく無に等しいのである。
しかし。
実際には、心肺停止後、数十分、時には1時間以上経った場合でも、心臓マッサージなど、蘇生術を試みることがある。
これはどういったことなのか。
これに関しても、ある都市伝説がある。
それが、ある種のデモンストレーションだというもの。
医療に携わるものであれば、カーラーの救命曲線など知っていて当然。
なので、10分20分、ましてや1時間を超えるような心肺蘇生に、ほとんど効果がないことも知っている。
ただ、これはあくまでも”効果”の話だ。
その行為自体には、意味がある。
カーラーの救命曲線など知らない一般の人間からすれば、10分やそこらで、蘇生術を終えられたらたまったものではない。
医者には、全力を尽くして欲しいのだ。
そして、その想いは医者もよく知っている。
だから、助かる見込みがほぼないと思っていても、医者は心肺蘇生術をするのだ。
それともう一つ。
研修生に心肺蘇生の練習をさせるという意味合いもあるのだとか。
ちなみに、心肺停止の状態から蘇生した国内最長が約80分と言われている。
それにしても、今回の御嶽山の噴火で、自然の驚異が如何に恐ろしいかが分かった。
そして、そんな危険な噴火を起こす可能性がある山が、日本には実は大量にある。