ジブリ映画の中でも人気の高い「魔女の宅急便」
私も大好きな作品の1つである。
小学校の合唱コンクールで、魔女の宅急便の主題歌を歌ったのは良い思い出だ。
そんなことはさておき、この魔女の宅急便に「ある著作権侵害の都市伝説」が存在するのはご存知だろうか?
多くの人は知らないが、実は世の中にある宅配サービス業者は、宅急便ではなく「宅配便」である。
この宅急便という表記は「クロネコヤマト」が作り出した商標で、無断で使うと著作権侵害になってしまうのだ。
しかしジブリ映画の「魔女の宅急便」はこともあろうか、無断でこの名前を使ってしまったのだ。
これは明確な著作権侵害であり、訴えられても全くおかしくない事案である。
しかしクロネコヤマトは訴えなかったという。
それどころか、スポンサーにまでなって作品を応援する立場に立っている。
「クロネコヤマトの器の大きさがやべー!」と普通の人なら思うところだが、真相は実はそうではない。
魔女の宅急便には、非常に重要な役割を担っている「クロネコのジジ」というキャラが存在する。
ここまで言えば、勘の良い人なら分かるだろう。
どう好意的に解釈しても魔女の宅急便という作品はクロネコ宅急便の「広告塔」なのだ。
宅急便という言葉が世間に広まったのは、この作品が世に出てからである。
今では誰もが知らず知らずのうちに「宅急便」という言葉を使うまでにメジャーなものになったのだ。
その背景に「魔女の宅急便の大ヒット」があるのは間違いない。
そして極めつけは「クロネコのジジ」である。
魔女の宅急便を見た人が、潜在的に「クロネコ宅急便」をイメージしてしまうのは必然だ。
そんなことで?と思うかもしれないが、イメージ戦略というのは時として絶大な効果を発揮することがある。
例えば、携帯メーカーの「ソフトバンク」なんかが良い例だろう。
ソフトバンクのCMを思い出してほしいのだが、あんなCMを見たところで企業の良さなど一切伝わらない。
機種の説明をするでもなく、企業の素晴らしさを宣伝するでもなく、ただへんちくりんな家族模様を流しているに過ぎない。
しかしあのCMがバカウケして、今では最大手メーカーDOCOMOと肩を並べるほどになっている。
潜在的に「宅急便=クロネコ」というイメージを植え付けることにより、選択肢の1つとして入り込むことができるのだ。
それをやってのけたのが「魔女の宅急便」というわけだ。
こういった人間の無意識下に訴えかける手法は、信じられないほど効果てきめんなのである。
実はこの手法を悪ふざけで使って、修正を余儀なくされたアニメが存在する。
それが「シティーハンター」である。
作中にとある凶悪犯罪者の顔を写し出してしまい、大問題にまで発展したのだ。