まだまだ記憶に新しい、未曾有の大災害「東日本大震災」
あの悲劇からかなりの月日が経過したが、いまだに復興はなしえていない。
被災された方や親族や友人を亡くされた方など、多くの人々に衝撃を与えた戦後最大の自然災害である。
幸運にも私や私の周りの人は被災していないが、連日テレビで報道された映像には衝撃を受けた。
まるで時を刻むかのように増えていく行方不明者数の数。
夢でも見ているのでは?と、未だに現実を受け入れられていない自分がいる。
そんな東日本大震災の起きたあの日「ディズニーランド」で起きた奇跡が今、話題を呼んでいる。
ディズニーランドがあるのは千葉県浦安市。
震源地とは少し離れているが、東日本大震災当日はディズニーランドでも大きな揺れを観測した。
その日も沢山のゲスト(来園者)が訪れており、2万人ほどのゲストで賑わっていた。
そんな賑わうディズニーランドを突如として襲った大きな揺れ。
子供たちは泣き叫び、大人たちも体験したことのないような地震に恐怖を感じた。
瞬く間に園内は大パニックとなり、ディズニーランド史上最悪の自体が予想された。
しかしそんな中、ディズニーランドのキャスト(従業員)たちだけは迅速に冷静に対処を開始する。
最初の大きな揺れから約40病後、園内にアナウンスが流れた。
「皆様におしらせいたします。ただ今、地震がありました。建物のそばにいらっしゃる方は建物から離れて広いところでお待ちください」
「地震と園外の状況は、確認が取れ次第、ゲスト(来園者)の方々におしらせします」
園内アナウンスを聞いた、1万人にも及ぶキャストは、それぞれが各自の判断で対処した。
「広い場所で、お座りになって下さい」と、一人一人に笑顔で声をかけ、ゲストの不安を取り除くように努めた。
そしてあろうことか、落下物から頭を守るためにと「店頭に置かれているぬいぐるみ」をゲストに手渡したのだ。
この迅速な対応には理由があった。
実はディズニーランドでは毎年、180回にも及ぶ「震災訓練」をしていたのだ。
およそ2日に1回という信じられないペースである。
そしてその防災訓練では、キャスト全員にこう伝えられていた。
『もし何か大きな震災が発生したら、各自で迅速に対応してもらいたい』
『必要とあれば園内にあるどんな物でも(それが商品でも)活用して構わない』
ゲスト(来園者)を1番に考えるディズニーランドならではの指示である。
そういった日々の訓練や指示により、キャストたちは店頭におかれているぬいぐるみやクッキーなどを勝手にキャストに渡し、安全を確保していたのだ。
さらに、ディズニーランドには「5万人が3日~4日過ごせるだけの食料」を常に備蓄しているという。
これだけの膨大な量の食料を備蓄している企業は、世界を見渡してもディズニーのみであろう。
「お客様を第一に!」と掲げる企業は決して少なくない。
しかし実際のところ、そのほとんどの企業は口ばっかりのハリボテの企業理念である。
しかしディズニーは違う。
公言通り「お客様を第一」に考え、公約通り実行しているのだ。
実際に、東日本大震災当日は、交通もストップし、約2万人のゲストがディズニーランド園内で一晩過ごす事態が発生している。
日頃から徹底的に対策していたからこそ、この未曾有の大災害を乗り越えられたのだ。
震災当日はこのパニックに追い打ちをかけるように「雨」まで降り始めた。
3月ということもあり、気温はドンドン低下し、ゲストは寒さに震えた。
しかし、ディズニーランドのキャストはこれにも適切な対応をみせている。
お土産用のビニール袋や店頭におかれているバッグをゲストに配布し、雨避けとして活用したのだ。
足りなければ、倉庫からダンボールまで引っ張り出したという。
しかし、いくら雨を凌いだとしても、いつまでも外にいるわけにはいかない。
一刻も早くゲスト全員を建物内に入れたい。
そう考えたディズニーランドは、一足先に安全確認の済んだディズニーシーの建物内へとゲストを誘導することを決める。
しかし、大規模な震災のせいで電気がストップしてしまい、ディズニーシーへ移動するための乗り物が作動しない発生していた。
回り道をして、一般道を通って行けば可能だが、それでは時間がかかりすぎる。
そう考えたディズニーランドサイドはある決断をする。
それが「従業員専用のバックヤードの開放」である。
実はディズニーランドには、夢の国のイメージを壊さないように「従業員のバックヤードは決して開放してはいけない」という鉄の掟があるのだ。
これは過去28年間破られたことはない。
しかし、この未曾有の事態に対処するにはこの鉄の掟を破る他なかった。
従業員専用のバックヤードは、配線や基盤剥き出しになっており、ディズニーのイメージである「夢の国」とは程遠い場所である。
そんなディズニーの裏側を見せたのは、後にも先にもこの時だけだ。
しかし、ディズニーランドはここでも素晴らしい対処をしている。
なんと、何百人にも及ぶキャストがペンライトを持って並び「光のアーチ」を作り上げたのだ。
本来なら無機質なだけの汚いバックヤードが、一瞬にして綺麗に輝く光の道と化した。
こうして、ディズニーランドはそのイメージを一切壊すことなく、ゲストを安全に素早く建物内へと誘導したのである。
その後、ゲスト全員に毛布が支給されたり、夜食用にひじきご飯が配給された。
もちろん全て無料である。
こうして、誰1人として怪我人を出すことなくゲスト全員は無事に過ごすことができた。
翌日からディズニーランドは一時閉園し、復興に努め、約1ヶ月後の4月15日に再び開園した。
再園時には、およそ1万人にも及ぶディズニーファンが並んだという。
今回紹介した話は一部のファンのみが知る事実である。
ディズニーからしてみれば、当たり前な対処であり、特に取り上げられうような特別な話ではないということだろう。
その証拠に、東日本大震災時のみに限らず、ディズニーランドでは日常的にこういった「おもてなし」が当たり前に行われている。
その1つがこれだ。
TDRの被災者は7万人ですが…。