長年、タバコと癌(ガン)とりわけ肺がんに関する因果関係は「ほぼ確実にある」というのが、医学界のみならず、一般大衆にとっても常識であった。その根幹にあるとされているのが、マウスを使用した”ある実験”。しかし、その実験というのが、実はとんでもない無茶苦茶なものだった…。
今では、常識となっているタバコと癌(ガン)の因果関係。
特にタバコを吸うと肺がんのリスクが上がるというのは、タバコのパッケージにも書かれているもので、その因果関係に疑いを持つ人はいない。
とは言っても、これは何かしら実験や統計から導き出されたもので、口から吸うから肺に悪そうという理由で、このような常識が浸透しているわけではなく、当然、過去にタバコと肺がんの関係性を示す実験がなされた結果である。
しかし、実はこの実験、中身を見ると、専門的な知識のない我々一般人からしても、とてもじゃないが信じがたいようなものであった。
具体的な実験方法はこうである。
まず、固定したマウスの口にタバコをあてがい、そのタバコに火をつける。
これだけだと、よくある喫煙者の行動を再現しただけで問題ないように思える。
しかし、問題はその本数だ。
なんと、固定したマウスに1日200本ものタバコを吸わせ続けたのだ。
もはや、ただの動物虐待でしかないうえに、1日200本ものタバコを吸う喫煙者が一体どれだけいるというのだろうか。
そして、この実験の結果、確かにマウスは肺がんになった。
これが、タバコと肺がんの関係性を示す実験の結論である。
こんなことを堂々と言ってのけるから、結論ありきの実験や先入観というものがどれだけ恐ろしいかが良く分かる。
え?これだけじゃ、まだ因果関係は否定出来ない?
おっしゃる通り。
確かに、多少無茶苦茶な条件の実験とはいえ、マウスにタバコを吸わせた結果肺がんになったわけだから、因果関係は否定出来ない。
しかし、重要なのはここからで、なら、実験を行ったマウスの内どれぐらいの割合でマウスが肺がんになったのか。
こちらの方である。
どんな実験でも、重要なのはその割合である。
わざわざ実験しないと確かめられないような複雑な条件のものは、0か100かなんて都合の良いことは、ほぼあり得ないからだ。
当然、この実験でも、用意されたマウスで肺がんになったマウス、肺がんにならなかったマウスの両方がいる。
では、その割合はどれぐらいなのか。
この実験により、「タバコと肺がんには関係性がある」と結論付けられたのだから、下手したら、半数近くが肺がんになったと思うだろう。
実際はどうか。
100匹のマウスで行われたこの実験で、肺がんになったのは…わずか数匹だった。
つまり、固定した状態のマウスに1日200本のタバコを吸わせ続けた結果、100匹の内、数匹が肺がんになった、わけだ。
これは果たして、タバコと肺がんの関係性を示していると言えるのだろうか?
そもそも、マウスは人間と違い、タバコを吸わない。
一方で人間は、昔から(とりわけ男性は)タバコを嗜好品として嗜んできた。
その違いも勿論だが、固定された状態で1日200本ものタバコを吸わされたら、どんな生物でも、過度のストレスを感じてしまう。
今現在、癌の発症とほぼ確実に因果関係が証明されているものに、ストレスがある。
むしろ、この実験でマウスは、タバコの影響というよりも、「過度のストレス」の影響を受けたのではないか。
そんなことが、我々一般人からしても当たり前に想像出来るだろう。
しかし、この実験が元になり、肺がんとタバコの因果関係が囁かれ出したのだ。
とはいえ、勘違いして欲しくないのは、ここで言いたいのは何もタバコと肺がんが無関係だということではないということ。
そうではなく、こんないい加減な実験を元に肺がんとタバコの因果関係を示すのではなく、客観的に正しい実験やそれに基づいたデータをきちんと出してくれと言いたいのだ。
結論ありきで、自分たちに都合の良い部分だけを抽出して(この例だと「マウスにタバコを吸わせたら肺がんになった」)、それを一般常識にし、喫煙者を悪者にし、肺がんになるぞと脅し、一体何がしたいのか。
むしろ、喫煙は肺がんになる!と言い過ぎた結果、肺がんは嫌だから止めたいと思う気持ちと、止められない気持ちとの間でストレスを抱えてしまう方が体に悪いのではないか。
私は非喫煙者だが、私にもタバコを吸っている友人や家族だっているのだ。
いい加減なことで、そういった人たちに精神的負担を掛けるのは止めてもらいたい。